大津地方裁判所 昭和60年(わ)639号 判決 1986年5月09日
本店所在地
滋賀県彦根市京町三丁目四番一八号
有限会社 一番
(右代表者代表取締役 石原幸子)
本籍
滋賀県彦根市京町三丁目目四〇番地
住所
同町三丁目三番二九号
会社役員
石原庸光
昭和三年二月一九日生
法人税法違反各被告事件
出席検察官
松田威
同
弁護人 遠藤幸太郎
主文
被告人を有限会社一番を罰金三五〇〇万円に、被告人石原庸光を懲役一年六月に処する。
被告人石原庸光に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
訴訟費用は被告人両名の連帯負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社有限会社一番は、滋賀県彦根市京町三丁目四番一八号に本店を置き、遊技業を営む資本金一五〇万円の有限会社であり、被告人石原庸光は、同会社の取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人石原庸光は、被告会社の代表取締役石原幸子と共謀の上、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売り上げの一部を除外するなどの方法により所得を隠匿した上、
第一 昭和五七年三月一一日から同年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三、〇七七万二、二七〇円であるにもかかわらず、同年六月二九日、同県彦根市立花町五番二〇号所在の所轄彦根税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四一三万九、五五八円で、これに対する法人税額が一五四万三、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告会社の同事業年度における正規の法人税額一、二七二万九、四〇〇円と右申告税額との差額一、一一八万九〇〇円を免れ
第二 昭和五七年五月一日から同五八年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三億一六一万七六〇円であるにもかかわらず、同年六月二九日、前記彦根税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三、一五七万四、〇七二円で、これに対する法人税額が一、一六九万九、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告会社の同事業年度における正規の法人税額一億二、五一一万四、七〇〇円と右申告税額との差額一億一、三四一万五、一〇〇円を免れ
たものである。
(証拠)
一 大蔵事務官作成の各脱税額計算書、脱税額計算書説明資料、各現金預金有価証券等現在高確認書、各同現在高検査てん末書及び各査察官調査書
一 被告会社作成の各法人税確定申告書謄本
一 国税査察官作成の査察官報告書及び各写真撮影てん末書
一 大蔵事務官作成の次の者に対する質問てん末書
福井昭夫(二通)、吉田幸一、寺嶌平七郎、藤井耕一、外村捨三、佐々木清、石原收、田中芳夫、平居圭子、石原幸子(九通)、堤豊次、日下部昭二(二通)、石原将宏、石原成郎、富田万喜子、中西守光、鈴木清子、小山弘子、水谷貞子(二通)、浅井愛子、湯浅宗男、徳田善三郎、花牟礼義隆、松井一郎、田中忠彦、被告人石原庸光(二五通)
一 趙甲連、石原幸子、被告人石原庸光の検察官に対する各供述調書
一 田中忠彦、橋本貢治、高田文浩、北居孝、藤木康誠、広部藤一郎作成の各供述書
一 被告会社登記簿謄本
一 被告会社定款
(法令の適用)
被告会社の判示各行為はそれぞれ法人税法一六四条一項、一五九条一項に該当するところ、情状に鑑み同法一五九条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により合算した金額の範囲内で同被告会社を罰金三五〇〇万円に処する。
被告人石原庸光の判示各行為はそれぞれ法人税法一五九条一項、刑法六〇条に該当するところ、各所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四七条本分、一〇条により犯情重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一年六月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
被告人両名の訴訟費用は刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条により被告人両名の連帯負担とする。
(裁判官 梶田英雄)